惑星ソラリスに向かっているよ

東方Projectの二次創作をやってるソラリスのブログです。書いてみたもの、描いてみたものなんかをまとめたりするブログです。

2011年07月 | ARCHIVE-SELECT | 2011年09月

| PAGE-SELECT | NEXT

≫ EDIT

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

| スポンサー広告 | --:-- | comments(-) | trackbacks(-) | TOP↑

≫ EDIT

ほたるのひかり

  ほたるのひかり


「あ、あそこ。光った」
「ほんとだ。あ、あっちも!」
 静かに流れる小川の辺に並んで座って、蛍を眺める。
 20匹くらいかわりばんこに光って、ふらふらと夜闇に踊っているようだ。
 山の夜風がひんやりと肌をなでる。
 蛍の季節はもう終わったと思ってたけど、この辺は涼しいからかな。
「すごいわね。こんなにたくさん光ってるの見たの初めてよ」 
 魔法の森辺りではあまり見られない蛍を見れて、アリスがはしゃぐ。
「もうだいぶ少ないぜ。来年はもうちょっと早く来たらきっともっとすごいんじゃないかな」
「そうなのね。じゃあまた来年も見られたら嬉しいな」
「そうだなー」
「再来年も、その次の年も。何十年後になっても見られたら嬉しいわね」
 満面の笑顔で私の顔を覗き込む。
「何十年後かー……」
 何十年後……私は生きてるのか?
 アリスのなにげない一言に、胸の中にちょっと暗い固まりが広がっていくような感じがした。。
 今までも考えてなかったわけじゃないけど、どんなに望んでも時間は有限で、人間の私はどうしてもアリスより先に死んでしまう。
 いつかは一緒にいられない時が来るんだなって思ってしまった。
 こんなに大好きなのにな……
 そしたら、アリスは悲しむのかな……
 残されたアリスはどんな気持ちだろう。
 辛くて苦しくて悲しくて、泣きそうになった。
 でも、それはどうしようもないことなんだ。
 自分は今のところ人間なんだから。
「あ、こっち来たわよ魔理沙」 
 私は魔法使いになれるだろうか。
 わからないし、それが正しいかもわからない。
 人間の自分は好きだし、妖怪よりはるかに短い人生を懸命に生きる人間を誇らしく思う。だから人間の自分のことを大事にしたいと思う。
 人間って、なんとなく蛍みたいかもしれない。
 光を放つ時間は短いけど、こんなにきれいで儚い。
「ここに止まって、螢さん」
 アリスが手を伸ばし、蛍を呼んでささやく。
 まるで甘い香りに吸い寄せられるように、ふらふらと黄緑色の光が近づいてきた。
 幸せそうなアリスの横顔を眺める。
 私がもしいなくなっても、悲しまないでいてくれる? 
 私はやっぱり人間として、人間としての時間を必死になって生きていたいなって思ってる。
 あと半世紀ちょっとくらい。アリスと一緒に。
 寿命が尽きたら、静かに眠るようにあの世に旅立ちたい。
 私がいなくなってアリスは悲しむと思うけど、たまに何かの拍子に二人で過ごした幸せな時間を思い出してくれたらいいな。
 懐かしくなったり、嬉しくなったり、ちょっとだけ寂しくなったり。
 でもそんな思い出が、アリスのそれからの時間を生きる糧になってくれたらいいな。
 ちょっと、都合が良すぎるかな。
 でも、私が人間であり続けるなら、それは避けようもないから……
 近づいてきた蛍が、アリスの手に止まる。
「あ……魔理沙、見て見て。え? 魔理沙? なんで泣いてるの?」
「えへへ……あまりに綺麗すぎて感動しちゃったぜ」
「変な魔理沙」
 ふふふっと静かに笑う。
「アリス、来年もまた蛍、見に来ような」
「そうね。また来たいわね」
「再来年もその次もその次も、何十年先もな」
「当たり前じゃない。ずっとずっとよ」
「へへへ……」
 気づかれないように反対側をむいて、前髪を直すふりをして指先で涙を払った。
 愛する人とできるだけたくさん綺麗なものを見ようと思った。
 アリスの手から蛍が飛びたち、柔らかく光った。




≫ Read More

スポンサーサイト

| 小説 | 01:47 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

| PAGE-SELECT | NEXT

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。