惑星ソラリスに向かっているよ

東方Projectの二次創作をやってるソラリスのブログです。書いてみたもの、描いてみたものなんかをまとめたりするブログです。

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甘えんぼうのおいしい秋

  甘えんぼうのおいしい秋



「アリスー! 開けてー!」
 一抱えより大きいバスケットを両手に提げ、アリスの家の前で呼びかける。
 バスケットいっぱいのキノコから漂ういい匂い。
 秋の匂いだぜ。
「はーい! 開いてるわよー!」
 中からアリスの声。でも手はふさがってるのぜ。
「わるーい! 開けてくれー!」
 冷たい風を肌に感じながら開くのを待つと、すぐにアリスが顔を出してきた。
「え? ちょっとなにこれ」
「大収穫だったぜー」
 バスケットをアリスの目の前に掲げると、アリスが目を丸くした。
「一緒に食べようぜ! 旬だからなー」
 思わず口元が緩んでしまう。
 おいしいきのこ料理を食べさせたくて、今朝美味しそうなやつを取ってきたんだ。
 そうだなー、まいたけは天ぷらで、しめじは焼いて食べよう。炊き込みご飯もおいしいし、なめこの味噌汁も外せない。
「えっと……二人で?」
「もちろんだぜ!」
「……」 
 戸惑ってるようなアリス。あれ? びっくりさせすぎちゃったかな?
「……アリス?」
「あ、いや、こんなにいっぱいあるなら、神社にでも行って食べない? 霊夢も喜ぶと思うし」
「え? あー、そうかもだけど……」
 霊夢は喜ぶかもだけど……
「他にも誰か呼んでもいいかもしれないし」
 他にも!? 賑やかでそれはそれで楽しいかもしれないけどさ……
「アリスと……食べようと思ってたんだけど……」
「うーん、でも二人で食べるにはちょっと多いような……」
「でもみんなと一緒だと……減っちゃうし」
「キノコが?」
「いや……アリ……」
 アリスが……なんだけど……
「いいだろ? 今日はアリスの家に来たんだぜ。」
 強引に押し切る作戦。アリスの顔をじっと見つめる。
「はぁ……しょうがないわねぇ。」
 呆れながらも招き入れてくれる。
 やった。ほっと息をつく。
 よーし、おいしいごはん作るぜー。



 七輪の煙がちょっと目にしみる。
 窓は全開だけど少し煙い。
 網の上には、そろそろいい具合のしいたけとしめじ。
 きのこの炊き込みご飯がいい匂いを漂わせているし、お味噌汁もばっちりだ。
「あとはまいたけを天ぷらにするだけだぜ」
 これがまたとびきりおいしいんだよなー。さくっとしてじゅわっと旨みが出てきて。
「魔理沙って和食作るの上手よね。感心しちゃうわ」
 アリスが後ろから声をかけてくれる。
「日本人だからな。でもアリスの作る洋食のほうが上手だし、おいしいと思うよ」
 そう言いつつも素直に嬉しいな。
 からっと揚がった天ぷらを引き揚げて、古新聞に載せて油きり。
「アリス、よそうの手伝ってくれる?」
「もちろん。おいしそうな匂いねー」
「いいきのこいっぱい取ってきたからな。間違いないぜ」
 アリスがごはんをよそってる隙に天ぷらを一つつまみ食い。
 うん。おいしくできた。
 アリスの喜んでくれる顔を想像したら幸せな気持ちになった。



 ダイニングテーブルに並べたたくさんのきのこ料理。
 炭火で焼いたしめじとしいたけ、まいたけの天ぷら、炊き込みご飯とお味噌汁にもきのこがいっぱい。あましょっぱいきのこの煮付けもおいしくできた。
「さあアリス! 食べていいぜ!」
「すごーい! ほんとにおいしそう!」
 歓声をあげるアリスを眺めながら、ちょっと呑もうかなと思って燗をつけていたお酒をお猪口に注ぐ。
 アリスは「まずは食事をいただいてからね」、と日本茶を淹れていた。
 行儀よく手をあわせて、いただきますとつぶやくアリスを眺めながらお酒を一口。
 おいしい。もう一口飲んでお猪口を空ける。
 どれから食べようか迷ってたらしいアリスが、まずはとお味噌を飲む。
「おいしい。すごくいい出汁が出てる」
 ほっこりと嬉しそうに笑う。つられて私も笑ってしまう。
 ごはん、天ぷら、煮付けと次々に口に運んでは、幸せそうに頬を緩ませるアリスを見てると幸せな気持ちになる。
 やっぱりこの笑顔は私の前だけがいいな。
 お銚子からお酒を注いで、溢れそうになるところを慌ててすする。お銚子が一本空いた。
「どれもほんとにおいしい。ほんと、意外よね」
 アリスが食卓の料理を改めて見回すと、そんなふうにほめて笑った。
「意外ってなんだよ。でも普通だぜ」
 照れくさくなって、お猪口を口に運ぶ。空いたらすぐ次を注ぐ。
 うん。今日のお酒はほんとうに美味しい。何杯でも呑めそうな気がする。
「今日は少し早くない?」
「大丈夫だぜー」
 テーブルの料理はどんどんおなかの中に消えて行って、同じようにお酒もするするなくなっていく。
 すぅっと喉の奥に消えて行くような感じで……また空いたぜ。三本目。
 もう一本呑も。あ、そだ。
「アリスも呑まない?」
「じゃあ少しね」
 椅子から立ち上がり台所に。ちょっとふらっとして転ばない。転ばないぜ。
「魔理沙、大丈夫?」
「ん? 大丈夫だぜー」
 お銚子を三本、燗を付ける。
 やかんに入れたお銚子が揺れてかちかちと音を鳴らす。
 まだ熱燗ってほど寒くもないし、ぬる燗くらいがちょうどいい。
 適度に温まったくらいで火を止めて、お盆に載せて食卓へ戻る。
「できたー」
「魔理沙、ふらふらしてるわよ」
「ふらふら? してないぜ?」
 アリスのお猪口にお酒を注ぐ。
「じゃあかんぱーい!」
「なにに?」
「んー、私とアリスが幸せでいられますようにー」
 ちん、とおちょこを鳴らす。
「ちょっとなによそれ」
 くいっと呑み干し次を注ぐ。
「幸せは、二人だけがいいのぜ」
「ばかね……」
 アリスもおちょこを空ける。おー、いいねーいいねー。
「かわいいぜー。アリス照れてる」
 ついにやにやして、お酒をおかわり。
「さあ、アリスももう一杯」
「はいはい」
 照れながら差し出してくるお猪口にお酒を注ぐ
 かわいいなぁ。
「ちょっと! こぼれる!」
「おーとっと」
 アリスに見とれてたらこぼしちゃったぜ。
「アリスがかわいいからだぜ」
「なに言ってるのよ! ぼーっとしてるからでしょ」
 へへへ。怒られちゃったぜ。
 怒った顔もかわいいぜー。
「ふー、アリスと一緒だと楽しいなー」
「完全に酔ってるわね」
 そうかな? ほろ酔いくらいだと思うけど?
「そんなことないさ。酔ってるとしたらアリスに酔ってるのぜ」
「……お水持ってくるわね」
「いいー。いらないー」
 私の横をすり抜けて行こうとするアリスの腕を取って抱きかかえる。
「アリス? 怒った?」
「怒ってないわよ。でもちょっと呑みすぎね」
 優しい笑顔。ちょっと調子に乗りすぎたかもしれない。
「ごめんなさい」
 急に悲しくなってきた。
「謝ることないわよ。おいしいごはん、ごちそうさまでした」
「アリスと一緒に食べたかったんだぜ。アリスが喜んでくれる顔見るのは私だけがよかった……」
 あと寂しい感じ。アリスの腕をもっとぎゅっとする。
「ちょっと休みましょ」
 アリスにまとわりつくように移動して、ソファーに沈み込む。
「アリスはみんなに愛されてるから、みんなと一緒だと私の分が減っちゃうのぜ」
「魔理沙だってみんなと仲いいじゃない」
「でも、私は……」
 アリスの顔を見上げる。優しい顔で私の顔を覗き込んでくれる。
「ぎゅってして」
 大好きな顔をまっすぐに見れなくて、アリスの胸にうずくまる。
 すぐに私の背中に腕をまわして包みこんでくれた
「今日は魔理沙、甘えん坊さんね」
「うー、そんなことないはずなのに、全く否定できないぜ」
 くすくす笑うアリスの振動が伝わる。
 温かい。安心する。
「ごめん」
「今日だけよ」
 お酒のせいかな。急に眠気が来た。
「寝てもいい?」
「風邪引くわよ。毛布取ってきてあげる」
「うん……もうちょっと……」
「しょうがないわね。上海、お願いできる?」
「シャンハーイ」
 アリスのそばにいた上海がベッドルームに向かっていく。
 髪の毛に触れる手の感触が気持ちいい。
「……撫でてくれるの……なんかいい」
 アリスがゆっくりと髪を撫でてくれるのが温かくて……
 ふわっと……意識が……落ちていく……
 そっと頭が持ち上がって……ああ、毛布……
 ありがと……上海。
 アリスの匂いの毛布……
「……おやすみなさい」
 ささやきが耳をくすぐる……
 そして頬に触れる……柔らかい……


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| 小説 | 03:09 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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