惑星ソラリスに向かっているよ

東方Projectの二次創作をやってるソラリスのブログです。書いてみたもの、描いてみたものなんかをまとめたりするブログです。

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紅茶の時間

   紅茶の時間
 
 
 お嬢様ご所望のクッキーを焼いた。
 紅茶によく合うシナモンクッキー。でも、たくさん焼きすぎたかも。
 美鈴にも食べてもらおうか。
 そうだ。
 午後の陽気に居眠りしてるといけないし、ちょっと様子を見に。
 ティーポットとカップを二客。出来立てのクッキーもトレーに載せる。
 居眠りしてたら、ちょっと驚かせてみようかしら。
 びっくりする様子を思い浮かべると口許がゆるんでしまう。



「あれ?咲夜さん。どうかしました?」
「どうして起きてるのよ」
「いやいや。仕事中ですし。いつも寝てるわけじゃないですよ」
「まあいいわ。休憩にしましょ」
 木陰に腰を下ろし、トレーを挟んで隣に美鈴が座る。
 熱い紅茶をカップに注ぐ。
「ありがとうございます」
 美鈴が紅茶を一口含み、コクンとのどを鳴らす。
「クッキー、手作りですか?」
「お嬢様がご所望だったから。たくさん作っちゃったのよ」
 嬉しそうにクッキーを口に運ぶ。
「おいしい!紅茶ととっても合いますね。嬉しいな」
 よかった。喜んでもらえた。
「ちゃんとお仕事してたから、ごほうびね」
「いつも寝てるのはたまたまですよ」
「暖かくなってくるし、そのたまたまが増えそうね」
「暖かいと眠くなりますからねー」
「だめじゃない」
「あははっ」



 他愛のない話を続けていたら、ふと美鈴のティーカップが気になった。
 あまりお茶が減っていない。
「冷めちゃったかしら?」
「え?まだ大丈夫ですよ。全然」
 そう言って口に運ぼうとする。
 少しいたずらしてみよう。
 カップに口を付けようとする瞬間、時を止める。
 動かない美鈴の手からカップを下ろして、館に戻る。
 紅茶を淹れ直して、ポットにはコゼーも被せて。
 急いで美鈴のところに戻る。
 熱い紅茶を満たしたカップを元通りに持たせて……
 時が再び動き出す。
「あちっ!」
 いつのまにか熱くなっていた紅茶にびっくりする美鈴。
 その様子についクスクス笑ってしまった。
「もー!咲夜さん、やりましたね」
 美鈴が頬を膨らます。
「ごめんなさい。飲む前に気づくと思って」
 私が笑って謝ると、美鈴も笑顔を返してくれた。
「でも、咲夜さんが私のために淹れ直してくれたって思ったら、むしろ嬉しくなっちゃいました。
 おいしいです、あったかい紅茶」
 いたずらしたのに喜ばれるとは思ってなかった。
「じゃあこの紅茶が冷めるまで、もうちょっとお話しできますね」
 美鈴がいたずらっぽく笑うのを見て、きゅんとしてしまう。
 もこもこのコゼーもあるし、時間はたっぷりありそうだ。



どうもお久しぶりですソラリスです。

今回のSSは、ニコニコ動画の世界美咲劇場コミュで放送された、「春のめーさく大会」に参加させていただいた作品です。



またいつもどおり長々と解説させていただこうと思います。

まず今回の企画は、「今大変な日本の皆さまに笑顔を!」という感じのものだったので、どういう感じのもの書いたらいいかちょっと悩みました。
なにか今の大変な状況を打開する的な前向きな感じのする話がいいかなとも思ったんですが、そういう話がまったく浮かばなくて「ネタ無いなー」とつぶやいたりしてたんですけど、
エイプリルフールっていうご提案も頂いたんですが、放送が9日ってこと考えるとちょっと時期外しちゃってる感じもして・・・
で、そもそもその最初の話のとっかかりが無理があることに気づいて、いつもどおりのあまあまのやつでみんなニヤニヤしてもらったらいいんじゃないかと思って、いつもどおりの話を書きましたw

アイデアのとっかかりは、生放送の企画で歌ってみた東方のヴォーカルアレンジ曲です。



この曲をちょっと歌わせていただいたりしたんですけど、「紅茶もすでに冷めて」っていうフレーズがすごく印象的でここからイメージを膨らませて書き始めてみました。

まず話の簡単な流れとして、「咲夜さんがクッキー作って紅茶を淹れて、美鈴のとこ行って、一緒にお茶飲んでたら紅茶が冷めちゃった」というとこまで考えておいて、そこから肉付けしていきました。
この話も、割と話の流れ通りにプロットを進めていきました。
自分の中でのめーさくは、ツンデレ咲夜さんと天然イケめーりんって感じなので、それをまず意識させるため、「クッキーを作りすぎたから美鈴にも持って行こう」ということにしておいて、リスナーにツンデレ咲夜さんを意識させます。
わざわざ「居眠りしてるといけないから」と理由付けをさせて、そのキャラをより強くさせたりして。
で、この後の

 居眠りしてたら、ちょっと驚かせてみようかしら。
 びっくりする様子を思い浮かべると口許がゆるんでしまう。

この部分を書いた時に、最後の「時間を止めて、冷めた紅茶を熱いのに入れ替える」といういたずらを思いついたので、そこを物語の転の部分に使うことに。
次のシーンで、咲夜さんが美鈴のとこについたら美鈴が起きてたっていうのは、ネタとして使われやすい美鈴が居眠りしてるというのを意識的に避けただけなんですが、それによって計らずも、転の部分を活かすという関係性になっています。
で、そのいたずらの後の美鈴のリアクションとして「わざわざ淹れ直してくれて嬉しいです」という流れができました。

だいたいの起承転結もできたので、そのままで書き進めます。
休憩している二人の会話は、何気ない会話が嬉しかったという咲夜さんの台詞を引き出すためと、紅茶が冷めるだけの物理的な時間の長さを感じさせるために、完成版のより4倍くらいの長さで何気ない会話を書いてたんですが、ぐだぐだ長いので最後の直しでほとんどカットしました。
そして転の部分、いたずらする咲夜さんのシーンなんですが、僕、状況とか動きを説明するのが下手くそで、特に一人称形式なんで余計にそれが難しいというジレンマを抱えてるんですが、このシーンがまさにそういう感じでとても苦労しました。
最初はかなり具に動作を説明してしまってたんですが、それは最終的に修正してあります。

で、最後、オチの部分ですね。

 「でも、咲夜さんが私のために淹れ直してくれたって思ったら、むしろ嬉しくなっちゃいました。
  おいしいです、あったかい紅茶」

というセリフはすでに出来てたので、そこからを考えたんですがそれに続くセリフ、

 「じゃあこの紅茶が冷めるまで、もうちょっとお話しできますね」

はすぐに思いつきました。
美鈴のキャラだと、こういうセリフ言いそうかなと思いついたセリフなんですが、これが結構僕的にヒットで、自分で思いついてニヤニヤするくらいだったんですけど、
このセリフに説得力をつけるために、前後を脚色していくことにしいました。

まずその後の咲夜さんの最後の地の文、

 時間はたっぷりありそうだ。

の部分は、最初は「紅茶もまだまだ冷めそうにないし、のんびりした時間もまだまだたっぷりありそうだ」ぐらいの感じで書いたんですが、
その後さかのぼって、美鈴の紅茶が冷めたシーンに紅茶があまり減ってないとこを追加したとき、その意図(紅茶飲んじゃったら休憩終わっちゃう)を咲夜さんも気づいたことにして、淹れ直してきたときにティーコゼーもかぶせて来ることにたので、最後の文も

 もこもこのコゼーもあるし、時間はたっぷりありそうだ。

という感じに、咲夜さんの意図を含ませてあります。
つまり、美鈴の意図に咲夜さんも気づいてて、咲夜さんももうちょっと長く美鈴と一緒にのんびりしてたいから熱々の紅茶にティーコゼーを掛けてきた、そしてやっぱり美鈴もおんなじ気持ちで思ってくれて、それが嬉しくて「きゅんとしてしま」った、という構造になってます。
ちなみにティーコゼーってティーポットにかぶせてお茶を蒸らしたり、お茶が冷めないようにするための帽子みたいなやつです。

この転結部分の構造を思いついたところでほとんど話としては完成なので、後は推敲と削除の作業です。
ひと通り書き終えて一番問題だったのは、二人が何気ない会話を続けるシーンと、咲夜さんがいたずらするシーンの冗長っぷりでした。
前者は躊躇せずにバサバサ会話を切って、場転でつなぐことで簡潔にすることができたので簡単でした。
後者の方はかなり悩ましくて、それでもやはり余計な言葉を削除してくことと、文章のテンポをつけることでスピード感を出してみています。
本当は削除前の文章があれば分かりやすかったかもしれないんですが、上書き保存してしまってもう無いので、思い出しながらざっと説明すると、

 カップに口を付けようとする瞬間、時を止める。
 (カチッと)動かない美鈴の手からカップを下ろし(、ティーセット一式トレーに載せ)て、館に戻る。
 (熱々の)紅茶を淹れ直して、ポットには(冷めないように)コゼーも被せて。
 (トレーを抱えて)急いで(時の止まった)美鈴のところに戻る。
 熱い紅茶を満たしたカップを元通り(美鈴の手)に持たせて……

と言う元々の文章を、無駄な説明を極力排除して括弧内を全部削除。
多分リスナーは「ティーカップ下ろして屋敷に戻った」「紅茶を淹れ直した」って書いたら当然ティーセット持っていったと想像するだろう、という感じでリスナーを信用して削除するようにしています。
そして、「~した」という語尾を使わず、「~する」という現在(進行)形の文章を連打することでテンポをつけています。
これによって問題のシーンもかなりテンポアップすることができました。
後は全体的に同じような削除の作業を行って、約束の1000字以内に収めて完成です。

このSSは起承転結がはっきりしていて、また構造的に上手く作れた話だなと思ってます。
序盤、それでもちょっとたるいなって聞いてて思ったんですけど、転結の部分のタイトな感じと一気にニヤニヤする流れはなかなか面白く作れたと思います。

ちなみに文士をされてるフォロワーさんに、短い文章とテンポの良さをお褒めいただけてめちゃめちゃ嬉しかったんですが、その辺は学生時代に放送研究会で作ってたラジオドラマの経験が大きいと思います。
SSを書かれる方の参考になる点もあると思うので、次回はちょっとラジオドラマについて書いてみようと思います。

今回もまた長々と解説してきましたが、最後までお読みいただいた方、本当にありがとうございます。
長くてすみません。
でも読んでいただけて嬉しいです♪

| 小説 | 01:40 | comments:0 | trackbacks:0 | TOP↑

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