惑星ソラリスに向かっているよ

東方Projectの二次創作をやってるソラリスのブログです。書いてみたもの、描いてみたものなんかをまとめたりするブログです。

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ほたるのひかり

  ほたるのひかり


「あ、あそこ。光った」
「ほんとだ。あ、あっちも!」
 静かに流れる小川の辺に並んで座って、蛍を眺める。
 20匹くらいかわりばんこに光って、ふらふらと夜闇に踊っているようだ。
 山の夜風がひんやりと肌をなでる。
 蛍の季節はもう終わったと思ってたけど、この辺は涼しいからかな。
「すごいわね。こんなにたくさん光ってるの見たの初めてよ」 
 魔法の森辺りではあまり見られない蛍を見れて、アリスがはしゃぐ。
「もうだいぶ少ないぜ。来年はもうちょっと早く来たらきっともっとすごいんじゃないかな」
「そうなのね。じゃあまた来年も見られたら嬉しいな」
「そうだなー」
「再来年も、その次の年も。何十年後になっても見られたら嬉しいわね」
 満面の笑顔で私の顔を覗き込む。
「何十年後かー……」
 何十年後……私は生きてるのか?
 アリスのなにげない一言に、胸の中にちょっと暗い固まりが広がっていくような感じがした。。
 今までも考えてなかったわけじゃないけど、どんなに望んでも時間は有限で、人間の私はどうしてもアリスより先に死んでしまう。
 いつかは一緒にいられない時が来るんだなって思ってしまった。
 こんなに大好きなのにな……
 そしたら、アリスは悲しむのかな……
 残されたアリスはどんな気持ちだろう。
 辛くて苦しくて悲しくて、泣きそうになった。
 でも、それはどうしようもないことなんだ。
 自分は今のところ人間なんだから。
「あ、こっち来たわよ魔理沙」 
 私は魔法使いになれるだろうか。
 わからないし、それが正しいかもわからない。
 人間の自分は好きだし、妖怪よりはるかに短い人生を懸命に生きる人間を誇らしく思う。だから人間の自分のことを大事にしたいと思う。
 人間って、なんとなく蛍みたいかもしれない。
 光を放つ時間は短いけど、こんなにきれいで儚い。
「ここに止まって、螢さん」
 アリスが手を伸ばし、蛍を呼んでささやく。
 まるで甘い香りに吸い寄せられるように、ふらふらと黄緑色の光が近づいてきた。
 幸せそうなアリスの横顔を眺める。
 私がもしいなくなっても、悲しまないでいてくれる? 
 私はやっぱり人間として、人間としての時間を必死になって生きていたいなって思ってる。
 あと半世紀ちょっとくらい。アリスと一緒に。
 寿命が尽きたら、静かに眠るようにあの世に旅立ちたい。
 私がいなくなってアリスは悲しむと思うけど、たまに何かの拍子に二人で過ごした幸せな時間を思い出してくれたらいいな。
 懐かしくなったり、嬉しくなったり、ちょっとだけ寂しくなったり。
 でもそんな思い出が、アリスのそれからの時間を生きる糧になってくれたらいいな。
 ちょっと、都合が良すぎるかな。
 でも、私が人間であり続けるなら、それは避けようもないから……
 近づいてきた蛍が、アリスの手に止まる。
「あ……魔理沙、見て見て。え? 魔理沙? なんで泣いてるの?」
「えへへ……あまりに綺麗すぎて感動しちゃったぜ」
「変な魔理沙」
 ふふふっと静かに笑う。
「アリス、来年もまた蛍、見に来ような」
「そうね。また来たいわね」
「再来年もその次もその次も、何十年先もな」
「当たり前じゃない。ずっとずっとよ」
「へへへ……」
 気づかれないように反対側をむいて、前髪を直すふりをして指先で涙を払った。
 愛する人とできるだけたくさん綺麗なものを見ようと思った。
 アリスの手から蛍が飛びたち、柔らかく光った。






こんばんはソラリスです。
いっこ前のエントリで紹介した動画よりちょっと前にSSを書いてましたので、それを紹介したいと思います!
しかも3本あるんです。
今回のSSはTwitterのフォロワーさんから、初めてリクを頂いて書いてみました。
3人の方から頂いたので3本書いたんですが、受け取った瞬間後悔しましたw
リクで書くのって難しいですね。
自分で考えてないから想定外のリクだった時にすんごい困ることがわかりましたよ。

なんで急にリクでSS書こうと思ったかといえば、動画制作作業に飽きてきたからなんですが、それだけじゃなくってSSを書きたい欲求が急に湧いてきたとこともあって。
やっぱりまわりの文士さんが頑張ってらっしゃる様子をTLで拝見すると、自分も頑張って書くんだぜーっていう気持ちになるもんなんですよ。


それでは解説を始めますね。

この話は「蛍を見て寿命差を考えるお話」というお題で書きました。
相互リンクさせていただいているタナバンさんのリクエストです。
マリアリでは重要なテーマの一つ「寿命」ネタですね。
こちらをご覧の方だとご存知かと思いますが、人間である魔理沙と種族・魔法使いであるアリスの寿命の差、つまりどうしても魔理沙のほうが先に死んでしまうという事実を、魔理沙とアリスがどのように捉えて、どのようにその悩みを乗り越えるのか、という重めのテーマです。
東方の二次創作をする人たちにとってはどうしても避けられない、また逆にいつかは挑戦したいテーマだと思います。
僕も自分なりの魔理沙とアリスの死生観を考えていたものがあったので、このお題を頂いたときにはそれを形にすることに、嬉しさと悩ましさを感じました。
さすがタナバンさん、すごいリクくれたなーって思いましたw


魔理沙が自分の寿命をどのように捉えているか。
僕が考えるそれは作中の次の文の通りです。

 人間の自分は好きだし、妖怪よりはるかに短い人生を懸命に生きる人間を誇らしく思う。だから人間の自分のことを大事にしたいと思う。

魔理沙は人間として人一倍努力して、魔法使いでいます。
きっと、魔理沙はそんな人間でありながら妖怪と渡り合う自分に誇りと自信を持っているんじゃないかと思うんです。
自分の存在を肯定して生きている感じと言えばいいのかな。
そう考えると、人間としての自分を捨てて、種族・魔法使いになろうとは考えていないんじゃないかと思うんです。
今のところは、ですが。

もしかしたら今後、アリスとの関係性が深まるにつれて違う考えになるかもしれません。
でも、この話の段階では二人の関係はそこまで踏み込んでいなくて、魔理沙がふと寿命というものを考えてみるというだけの話にしてあります。
この先僕もまたいつか、二人の寿命差をめぐる物語を書くことがあるでしょう。
その時には、アリスも魔理沙の寿命について深く考えることになるでしょうし、それについて魔理沙と衝突することもあると思います。

今回は初めて寿命ネタを書くということでこのような形にさせていただきました。
寿命ネタって割と重い話になりがちで、実は僕、読むのも割と苦手な方なんですけど、魔理沙の中でだけその暗い部分を表現して、しかも前向きな結論にすることで、全体的にはあまり重くない、雰囲気のきれいな話にできたんじゃないかなと思います。


最後に、僕がマリアリを書くときに基本にしている魔理沙の思いが最後に書いてあります。

 愛する人とできるだけたくさん綺麗なものを見ようと思った。

自分が死ぬ間際になって、家族とか友人とか周りの人と、あれが楽しかったな、これがおもしろかったな、あんなきれいなものを見たなって話ができたら、自分の人生幸せだったなって思えるような気がするんです。
お父さんが亡くなる少し前にそういう話をして、亡くなった後にそう思いました。
寿命が短いことに自覚的な魔理沙は、きっとそういう思いが強いんじゃないかって思うんです。
だから僕は、魔理沙とアリスにはたくさんの楽しいことや嬉しいことを思い出にしてもらいたいなって思っています。

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