惑星ソラリスに向かっているよ

東方Projectの二次創作をやってるソラリスのブログです。書いてみたもの、描いてみたものなんかをまとめたりするブログです。

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寒い日の過ごし方

  寒い日の過ごし方



 館の大きな扉から外へ出ると、抜けるように高い青空が広がっていた。
 11月のとても冷え込んだ朝に、ぴんと張り詰めた空気と乾いた匂い。
「もうすぐ冬ね」
 この分だと雪が降るのもそろそろかな。
 トレーに載せたティーポットの中身が冷めないように、足を速める。
 美鈴はちゃんと仕事してるかしら。
 門の向こうに、暖かそうな冬の格好に身を包んだ美鈴が立ち番をしているのが見えた。
 大きな外套を羽織って、長いマフラーをぐるぐる首に巻いて。
 真面目に仕事してるみたいね。
 そっと近づいて行く。
 ん……? ゆらゆらと美鈴が揺れているような……
 もっと近づいてみる。
 ほとんど真横から顔を覗き込むと、うとうとと居眠りをしていた。
 やっぱりね。
 暖かい服装が裏目に出てしまったんだろうか。
「美鈴」
 耳元に口を寄せ、小さな声で呼びかける。
「ん……んー……あ、咲夜さん。寝てないですよ?」
 ぼんやりと目を覚まし、とっさの言い訳。
「ゆらゆら揺れてたわよ」
「ごめんなさい。ちょっと寝てました」
 それでもあっさりと居眠りを認めて、あんまり悪くなさそうに微笑む。
 そんなふうな顔をされると怒ったりできないのはいつものこと。
「しょうがないわねぇ。気分転換にお茶にしましょ」
 美鈴を誘って、近くの木の根元に腰掛けた。
 地面をふわっと覆う落ち葉は赤や黄色。
 最近、美鈴にお茶を持ってきては、隣で一緒に飲むのが習慣になってしまった。
 サボっているつもりじゃないけど、やっぱりサボってることになるのかしら。
 お嬢様は気づいているようだけど特に何か言われるわけでもないし、むしろなんだかニヤニヤと送り出されているような気もする。
 まあ、美鈴の仕事の様子を見るのと私の休憩時間ということで、一石二鳥ということにしておこう。
 持ってきたティーポットに被せられたコゼーを外し、手早く紅茶を注ぐ。
 熱々の紅茶からふわふわと湯気が立つ。
「はい、どうぞ」
「いただきます」 
 そう言って一口、紅茶をすする美鈴。
「おいしいです」
 白い息を吐きながら、いつものように答えてくれた。
「息白い。もう冬ね」
「そうですねー。葉っぱもこんなに赤くなって」
「掃除するのが大変なのよ」
 あたりを見回し地面を覆う落ち葉の量に少しため息。
 そんな私を見ながらも美鈴はちょっと楽しそう。
「集めたら焚き火ができますよ」
「もしかして、焼き芋が食べたいの?」
「え!? どうしてわかったんですか!?」
「落ち葉で焚き火と言ったらその辺かと思って。と言うかほんとにそうだったのね」
 呆れたような苦笑いを向けてしまう。
「あはは。咲夜さんには何でもお見通しで困っちゃいますね」
 全然困って無さそうな雰囲気。むしろ楽しそうに美鈴が笑う。
 でも焼き芋はちょっと食べたいかもしれない。
 午後に買い物に出たらお芋を買ってきて、明日あたり二人で落ち葉を集めて焼き芋をしよう。
「そうね、明日しましょうか」
「いいんですか? 嬉しいな」
 美鈴が目を輝かせる。
「たくさんお芋買ってきてくださいね。お嬢様とか皆さんで食べましょうね」
「もちろんよ。お嬢様の分を忘れたなんて知れたらどんなに機嫌を悪くされるか」
「そうですよねー」
 二人で顔を見合わせて笑いあう。
 なんでもない会話を楽しむような、こんな時間がとても愛おしく感じた。
 ぴんと張り詰めた空気を柔らかく緩ませる、温かい紅茶のような時間。
 最近の私はこの時間をとても大切に思っている。
 そんな大好きな時間を楽しんでいるうちに、紅茶の湯気も消えてしまった。
 11月の空気は、こんな柔らかい日差しの下でもやっぱり冷たい。
 私も少し冷えてきてしまったみたいで、両腕を抱えるように縮こまる。
「あ、ごめんなさい咲夜さん。寒いですよね」
 そんな様子を目に留めて、すぐに自分の大きな外套を脱いで私の肩に掛けてくれた。
「でも美鈴が寒いじゃない」
「私は大丈夫ですよ。おいしい紅茶で十分温まりましたし。あ、これも」
 美鈴はマフラーまで外して、そのままぐるぐると私の首元に巻きつけた。
 かなり長めなマフラーに口元まで埋まってしまった。
 ふわっと美鈴の体温を感じて、頭に熱が昇るような感覚。
「でも……」
「ほんとに大丈夫ですよ」
「だめよ……美鈴が寒くなっちゃう」
 いくら種族が違っても寒さを感じないわけじゃない。
 そんな思いをさせたくはなくて、美鈴の顔を見上げる。
「んー、じゃあこうしましょうか」
 美鈴は私の肩にかかった外套を一旦取り上げるとぴったりと私に肩を寄せ、二人一緒に入れるように掛ける。
「あ、これもですね」
「え?」
 今度は私に巻かれたマフラーを少し外して、自分の首にも一緒に巻きつける。
「ほら、これならふたりとも暖かいですよ」
 良い事思いついたというように、にっこりと微笑んでくる。
 顔が近い。ドキドキする。
 吐息が掛かりそうな距離。
 でも、嬉しいドキドキだと思った。
 前までの私なら、つい突き放してしまっていたかもしれない。
 でも今なら、少しだけ素直になって、美鈴の体温でほっこりと温まりたいなと思ってしまった。
 甘えるように、美鈴の胸元に頭を埋めるようにしてもたれかかる。
「ほんとね。ちょっと落ち着く……」
 口元のマフラーに遮られ、くぐもったように呟く。
「ゆっくり休んでいったらいいですよ」
 耳をくすぐるように、温かい吐息で囁く。
 それはきっと、私の弱さを見せてもいいかなって思ったから。
 完璧で瀟洒な自分は、美鈴の前でだけお休みしよう。
「ありがとう。お言葉に甘えて」
 私は身体を美鈴に預けて、薄く目を閉じる。
 秋の風が木の葉を揺らし、かさかさかさと音を鳴らす。
 まぶたの向こうを赤や黄色が彩って、ほわっと気持ちが安らいで。
 そして、美鈴のことをとても愛おしく感じた。









こんばんはソラリスです。
というわけで第2回美咲祭に参加したSSの方です。
このSSは前回のエントリのイラストをイメージの叩き台にして書いています。

いつもの通りの日常系SSですが、咲夜さんをかなりデレさせてみました。
自分の中では、以前書いためーさくSS(紅茶の時間)の続きのような気分で書いています。
少し美鈴に対する想いが強くなっていて、完璧な自分を演じてなくていい、安心できる相手として美鈴を特別に思っている感じです。
それでも美鈴は全然そんなのに気づかない朴念仁と言うか、天然イケメンっていう感じですね。
美鈴も魔理沙も天然イケメンって感じは僕の中で一緒なんですが、美鈴のほうが天然度が高くて、魔理沙はどっちかと言うとロマンチストだったり乙女っぽかったりする感じだと思います。

イメージしていた、落ち葉の舞う大きな木に寄り添うめーさくを最後に持ってきて、二人一緒にマフラーとコートで温まるというラストにしました。
本当はオチとしてすごく弱い感じがしたので、もうちょっと考える予定だったんですけどね……
そこに至るまでの流れとして、咲夜さんは館の中で働いてるんだから薄着だろう、美鈴は外だから冬の服かなということを決めて、咲夜さんが美鈴と長話をしてたら冷えちゃったというストーリーにしました。
それでも素直に美鈴にマフラーとか掛けてもらうにはデレが必要かと思ったので、全編を通してツン控えめのデレ過剰で書いてます。
どうしても書きながらツンなセリフを思いつくんですけど、がんばってデレてもらいました。
結果的にはデレデレの咲夜さんってかわいいなって思える話が書けたと思います。

また、テーマとして寒さの中に温かさを感じるということを考えていて、温かさを感じられる表現をたくさん織り込みました。
暖かい、温かい、体温、熱、湯気。
そんな感じの温度を表現する言葉は意識的にたくさん使いました。
ちょっとしつこい感じだったかもしれないですけど、できるだけ温度を感じながら読んでもらいたかったわけです。
あとは焚き火とか焼き芋とか落ち葉の赤や黄色の色とかも、間接的に温かみを感じるのではないでしょうか。
逆に寒さを表現する言葉も散りばめてあります。
冷え、寒い、ぴんと張り詰めた、秋の風。
これらが逆に暖かさを引き立ててくれるように思います。
やっぱり最終的に百合を書いてるわけですから、一番の温かさはお互いの体温っていうことで、こういう寒さの中に温かさを感じられる話は好きな話で、ついおんなじような話を書いてしまいます。

やっぱり秋から冬の話は書いてて楽しいです。
北国生まれだからか寒くなると楽しくなってきます。
寒い冬のイメージをいっぱい持っているのも冬の話を書く上ですごく自分の力になってると思いますね。
寒さと暖かさが混ざり合った冬の感覚ってすごく好きです。
北海道の人は雪は降るし寒いし冬嫌いっていう人多いように思うんですけど、僕は大学入る前までしかいなかったからか、北海道の冬が大好きです。
雪が降る前の季節もぴんと張り詰めた空気とか匂いとか、雪虫がいっぱい飛んでるのも好きでした。
雪が積もってからも、夜の月明かりを反射する雪道とか、猛吹雪の中歩いて家に帰って暖かいストーブにあたったりするのとか、そういうのが好きでした。
夜が長いのとかもいいですよね。夕方、あっという間に暗くなるんですよ。北海道は緯度が高いから余計短いですし。

そんなせっかくの冬なので、できるだけ素敵な冬のSSをたくさん書ききたいと思います。
次はゲスト原稿のマリアリを書く予定です!
他にも書きたいマリアリがあるんですけど、ちょっと構想中です。


第2回東方美咲祭のURLはこちらです。
http://www45.atwiki.jp/meisaku_festival02/

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